生成AIを業務に取り入れる企業が、急速に増えています。
総務省の「令和7年版 情報通信白書」によれば、生成AIの活用方針を定めた日本企業は49.7%に達し、メールや議事録、資料作成の補助として活用する動きが広がっています。
その一方で、導入をためらう理由として多くの担当者が「社内情報の漏えいリスク」を挙げているのも事実です。
こうした流れの中で注目を集めているのが、AIの処理をパソコン本体で行える「AI PC」です。
とはいえ、「普通のPCと何が違うのか」「導入すると何が変わるのか」は、意外と知られていません。
本記事では、AI PCと従来のPCの違いから、オフィスワークで得られるメリット、導入時の注意点、そしておすすめのモデルまでを、専門用語をかみ砕きながら分かりやすく解説します。
なぜ今、「AI PC」が注目されるのか
企業におけるAI利用が進んでいます。
ChatGPTをはじめとする生成AIが一気に普及し、ビジネスの現場でも文書の要約や翻訳、議事録づくりといった日常業務に使われるようになりました。
総務省の「令和7年版 情報通信白書」によれば、何らかの業務で生成AIを利用していると回答した企業は55.2%にのぼり、日本企業の約半数が業務での生成AI活用に踏み出していることが示されています(*1)。
しかし、これらの多くは「クラウドAI」、つまりインターネット経由で社外のサーバーにデータを送って処理する仕組みです。
高性能なAIを手軽に利用できる半面、社内の情報を社外(クラウド)に出すことになるため、情報漏えいのリスクが常につきまといます。
実際、企業が生成AI導入をためらう理由の上位には「社内情報の漏えい等のセキュリティリスク」が挙がっています。
こうした背景もあり、クラウドでAIを処理する従来の方法から、手元のパソコンでAI処理が可能になるAI PCに注目が集まっているのです。
「ローカル処理」という新しい選択肢
AIの処理をパソコン本体(=ローカル)で行う「オンデバイスAI」であれば、データを社外に出さずに処理できるため、プライバシーとセキュリティを守りやすく、通信の遅延もなく、クラウド利用料もかからないといった利点があります。
この流れを裏づけるように、Gartnerによれば2026年にはAI PCが世界のパソコン出荷台数の過半数を超えると予測されています(*2)。
AI PCは、これからのビジネスPCの主流になろうとしています。「なぜ今AI PCなのか」に対する答えは、AI活用の「場所」が変わり始めているから、と言えるでしょう。
*1総務省 令和7年版 情報通信白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd112220.html
*2Gartner Says AI PCs Will Represent 31% of Worldwide PC Market by the End of 2025
「AI PC」と「普通のPC」は何が違う? カギを握る「NPU」
「AI PC」と「普通のPC」の最大の違いは、「NPU」というAI専用のプロセッサーを搭載しているかどうかにあります。
従来のパソコンは、頭脳にあたる「CPU」と、画像処理などが得意な「GPU」の2つで処理を分担してきました。
これに対し、AI PCは、ここに新たに「NPU」(Neural Processing Unit)が加わります。
写真はイメージです
NPUは音声認識や文字起こし、翻訳、画像補正といったAI処理に特化した専用回路で、こうした処理をNPUが引き受けることで、CPUやGPUだけで処理する場合に比べて、負荷・消費電力・発熱を抑えられます。
イメージとしては、これまで一人(CPU)で何役もこなしていたところに、AI処理が得意な専門スタッフ(NPU)が加わり、仕事を分担できるようになった、と考えると分かりやすいでしょう。
従来のPCとAI PCの処理の違い。AI PCではNPUが背景ぼかしなどのAI処理を引き受けるため、CPUの負荷が下がり、省電力で快適に動作する
「AI PC」と「Copilot+ PC」の違い
AI PCの中でも、特に高い性能を持つものは「Copilot+ PC」と呼ばれます。
両者の違いは、主にNPUの処理性能にあります。
Copilot+ PCは、プロセッサーの処理能力を表す指標である「TOPS」(Tera Operations Per Second:1秒間に何兆回の演算ができるかを示す単位)で、40TOPS以上のNPUを搭載していることと定められています。
| 項目 | AI PC | Copilot+ PC |
|---|---|---|
| NPUの処理性能 | 40 TOPS未満 | 40 TOPS以上 |
| メモリ | 要件なし | 16GB以上 |
| ストレージ | 要件なし | 256GB以上 |
| 特徴 | AI処理をデバイス上で高速・省電力に実行 | リアルタイム翻訳など、より高度なAI体験が可能 |
AI PCとCopilot+ PCの主な違い。Copilot+ PCは40TOPS以上のNPUなど、より高い要件を満たすAI PCの上位区分
つまりCopilot+ PCは、AI PCの中でも上位に位置づけられる高性能モデル、というわけです。
Web会議をしながらのリアルタイム翻訳や、過去に見たファイルをすぐに呼び出す機能など、独自の使い方が広がります。
AI PCがもたらすオフィスワークの変化
AI PCがもたらすオフィスワークの変化は、会議の議事録作成や要約、画像生成など様々な機能があります。
その中でも、実際のワークシーンでAI PCの効果が最も実感しやすいのが、日々のWeb会議です。Web会議をしながら資料を作成しても、動作が重くならないことが、大きなメリットです。
Web会議でおなじみの「背景ぼかし」は、実はパソコンの頭脳であるCPUに大きな負荷をかける処理です。
従来のPCでは、この処理でCPUが手いっぱいになり、同時に資料を開くと動作が遅くなったり、バッテリーが早く減ったりすることがありました。
AI PCでは、この背景ぼかしのようなAI処理をNPUが引き受けます。その結果、次のような効果が期待できます。
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| 動作が安定する | CPUの負荷が分散され、会議中でも他の作業がサクサク進む |
| バッテリーが長持ちする | 省電力なNPUが処理を担うため、消費電力と発熱を抑えられる |
| 議事録が自動で作れる | 会議の文字起こしや要約をデバイス上で高速に処理できる |
会議ツールとの組み合わせでさらに快適に
たとえば、Web会議ツール「Zoom」に搭載された生成AI「Zoom AI Companion」を使えば、会話の文字起こしから要約・議事録作成、途中参加時の内容確認、フォローアップメールの下書き作成までを自動化できます。
また、Zoomの背景処理はCPUで行われるため、CTCエスピーではカメラ機能を拡張するAIソフト「Poly Camera Pro」との併用を推奨しています。
これにより背景処理をNPU側で動かせるうえ、自動フレーミングなどの機能も加わります。さらにHPのビジネスAI PCは、音声機能をヘッドセットブランド「Poly」がチューニングしており、周囲のノイズを自動で抑えてクリアな音声を実現。議事録の精度向上にもつながります。
AI PC活用の注意点と失敗しない選び方
このように、メリットの多いAI PCですが、導入にあたって押さえておきたい注意点があります。
それは「エンドポイントセキュリティ(端末の防御)」の重要性が高まるという点です。
AI処理をローカルで行うということは、それだけパソコン本体に社内情報や機密データが蓄積されるということでもあります。
万が一、その1台が攻撃を受けたりウイルスに感染したりすれば、被害は端末内のデータに直結します。
だからこそ、AI PCを選ぶ際は「PC本体そのものがどれだけ堅牢か」を確認することが欠かせません。
AI PCを選ぶときにチェックしたい4つのポイント
ひとくちにAI PCといっても、性能や機能はモデルによってさまざまです。導入の効果を大きく左右するため、選ぶ際は次の4つのポイントを確認しておくとよいでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| NPU性能 | AI処理の快適さを決める“心臓部”。Copilot+ PCの基準である「40TOPS以上」が一つの目安です |
| バッテリー | 会議や外出が続いても電源を気にせず使えるか。省電力なNPUを備えたモデルほど、長時間でも安心して使えます |
| 重量 | 毎日持ち運ぶなら、1kg前後の軽さが理想です |
| セキュリティ | 端末に情報が集まるAI PCだからこそ、セキュリティ性能の高さが重要です |
これら4つをバランスよく満たすのが、HPのビジネスAI PCです。中でもセキュリティは、HPが特に強みとする領域です。
HPのAI PCが備える強力なセキュリティ
この点で安心感が高いのが、HPのビジネスAI PCです。
ソフトウェアだけでなく、ハードウェアやBIOS(PC起動の土台となる基本プログラム)のレベルから多層的に守る、以下のような仕組みを備えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| HP Sure Start | 正常なBIOSのコピーを、他から隔離された専用チップに保管。起動のたびに改ざんを検知し、異常があれば自動で正常な状態に復元する「自己回復型BIOS」 |
| HP Wolf Security | ブラウザを隔離してマルウェアを封じ込める「Sure Click」、AIで未知の脅威を検知する「Sure Sense」などを組み合わせた総合的なエンドポイント防御 |
| HP TPM Guard | 暗号鍵などを安全に保管・処理する専用チップ。情報保護の「土台」を担う |
このように、ハードウェアやOS、BIOSを多層的に守る設計になっているため、機密情報を扱うオフィス利用でも安心して利用できます。
おすすめモデル:HP EliteBook X G2i 14 AI PC
そして、オフィス利用に特におすすめするモデルが、「HP EliteBook X G2i 14 AI PC」です。次世代のAI性能を備えた、超軽量プレミアムビジネスAI PCです。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| プロセッサー | インテル® Core™ Ultra シリーズ 3 プロセッサー |
| AI性能 | 最大50 NPU TOPS/最大180 プラットフォームTOPS |
| ディスプレイ | 14インチ・16:10の大画面 |
| 重量・薄さ | 約999g(最軽量構成)/薄さ17.15mm |
| 通信 | HP eSIM Connect対応(一部モデルのみ) |
HP EliteBook X G2i 14 AI PCの主なスペック。約999gの軽量ボディに次世代のAI性能を搭載
NPUが40TOPSを超え、高性能AI PCの基準である「Copilot+ PC」にも準拠。
こうした特長は、特定の職種に限らず、さまざまな働き方を後押しします。
たとえば、外回りの多い営業担当者なら、約999gの軽さと(eSIM Connect対応モデルの)どこでもつながる通信で、移動中でも商談準備やWeb会議を快適にこなせます。
オフィスと在宅を行き来するハイブリッドワーカーは、バッテリーを気にせず一日中作業でき、企画・クリエイティブ職は、ローカルのAI処理で資料づくりや画像補正をスムーズに進められます。
高いAI性能を、業種・職種を問わず“普段の業務”の中で生かせることが、このモデルの魅力です。
HP EliteBook X G2i 14 AI PC
まとめ
AI PCと普通のPCの大きな違いの一つが、AI処理を担う「NPU」を搭載しているかどうかにあることを述べました。
NPUがあることで、Web会議をしながらの資料作成でも動作が重くならず、バッテリーも長持ちし、文字起こしや要約といったAI活用も快適に行えます。
生成AIの利用がクラウドからローカルへと広がる今、AI PCはこれからのオフィスの標準となっていくでしょう。
一方で、端末に情報が集まる分、エンドポイントセキュリティの重要性も高まります。
HP Sure StartやHP Wolf Securityといった強固な防御を備えたモデルを選ぶことが、安心・安全なAI活用の大きなポイントとなります。
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参照リンク
プレスリリース |AIPCを活用した新サービス「Digital Workplace forAI」を提供 | CTCエスピー(株)
