いま企業、従業員、IT部門に求められる DEX(デジタル従業員エクスペリエンス)の向上とは?

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社内システムは効率化やセキュリティなど、これまでは企業側の都合が優先されてきました。

現在では、従業員を対象にしたDEX(Digital Employee Experience:デジタル従業員エクスペリエンス)を重視する考え方が注目され始めています。
DEXとは、さまざまなデバイスやアプリケーションなど、従業員が利用するデジタル環境に対する包括的な体験を表す言葉です。

DEXが注目された背景の1つとして、リモートワークの拡大によるコミュニケーションツールやクラウドサービスの活用などデジタル環境の高度化があります。

2つ目の要因として、ITツールの乱立によるシステムのサイロ化が挙げられます。
リモートワークの拡大も起因となり、効率化を求めてさまざまなツールを導入した結果、逆に社員間の連携や情報共有を妨げている企業も少なくありません。

DEXが低い企業は、従業員の離職を招くほか、社員の獲得にもマイナス要因となります。





いまや経営者にとってDEXの充実は、現場の生産性や従業員エンゲージメントを高めるために必要不可欠です。
その実現に向けて、IT部門はPCのヘルプデスクなどのサポート体制の整備だけでなく、高度なデジタル環境への対応が求められています。

従業員の働く環境が大きく変わるなか、デジタル技術によってどのように従業員の活動をサポートしていけばよいのか――。
本記事では、新たな概念として広まってきたDEXについて解説します。

1.従業員や企業におけるDEX向上のメリット

従業員や企業におけるDEX向上のメリット

DEXの概念を広めたのは、米国の調査会社であるGartnerです。同社はDEXを “Digital Workplace(デジタルワークプレイス)”を実現するための重要なピースとして注目しています。Digital Workplaceとは「いつでもどこでも柔軟に働き、テクノロジーや適切なアプローチで仕事の質や生産性、俊敏性を高める仕事空間」です。

ガートナージャパンが公表した「日本におけるデジタル・ワークプレース・イノベーションのハイプ・サイクル:2024年」では、DEXの向上を実現するツールの位置付けを、活用に向けて期待が高まっている「黎明期」の領域に設定しています。

これまで企業は、ビジネスモデルの変革に向けてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してきました。
そのなかでITツールの導入を進めてきたことが、むしろ従業員への負担を高めてきた可能性があることも否定できません。
そこで従業員の働き方を変えるバックボーンとしてDEXは注目されています。

高度化するデジタル環境とDEXの重要性

既にコロナ禍を機にリモートワークの導入が進み、スマートフォンなどのデバイス、アクセス先に制限がないクラウド環境、リモート会議やチャットサービスといったコミュニケーション手段など、デジタル環境全体が急速に変革しています。

さらに進むデジタル環境の高度化は、多くの従業員にとって両刃の剣といえます。
使いこなせないものであれば重荷になります。
DEXの向上に図るためには、高度なデジタル環境を、誰でも使いこなせるように整備する必要があります。





DEX向上における従業員のメリットは、デジタル環境におけるさまざまトラブルに煩わされることなく、快適にITツールを活用できることです。
その結果、従業員は仕事の意欲や満足度を高めることができるでしょう。

経営者にとってのメリット

経営者にとってのメリットは、従業員のエンゲージメント向上を図れることです。
さらに、従業員が働きやすくなることで生産性向上にもつながるなど多面的なメリットがあります。
デジタルワークプレイスで生成AIや各種ツールなどデジタル技術の活用環境を整備すれば、企画立案や意思決定、コミュニケーションの機能を強化できます。
業務の効率化に加え、イノベーションが生まれる可能性も増すでしょう。

人手不足の折、人材確保のための重要な施策にもなり得ます。
企業の競争力強化には、優秀な人材の確保が必要不可欠です。

IT部門にとってのメリット

IT部門にとってのメリットは、サポート業務の効率化が挙げられます。
デジタル環境の高度化に伴い、トラブル対応をはじめ、各種問い合わせが増加しています。
従業員の満足度を高めつつ、IT部門の業務効率化を図るための仕組みがDEXの向上とともに実現します。

経営者にとってのメリット IT部門にとってのメリット
  • 従業員のエンゲージメントの向上
  • 生産性の向上
  • イノベーションの向上
  • 人材確保への期待
  • サポート業務の効率化

デジタル環境の進化はめまぐるしく、未来志向の働き方改革への期待はますます高まる勢いです。
DEX向上のニーズは、今後も増大していくでしょう。

2.DEXの向上実現に向けて生じる課題

DEXの向上実現に向けて生じる課題

ただし現状は、リモートワークの拡大と高度なデジタル環境の活用が進むなかで従業員は多くの課題を抱えています。Gartnerによるデジタルワークプレイスに関する調査結果では「仕事に必要な情報やデータを見つけることに苦心している」という声が、従業員の半数弱から上がったとしています。

これは、主にリモートワークの進展とともに起こった無秩序なアプリケーションの増加による影響と見られます。

さらに、DXの推進に向けて様々な部門が個別にSaaSを導入した結果、複数のSaaSが乱立する状況を生んでいます。
業務効率の向上に役立っている面もありますが、IT部門の管理は煩雑になる一方です。

一部の調査では、1社あたりのSaaS利用数「11個以上」が前年比+5%という結果がでています。
※参照:スマートキャンプ「SaaSに利用に関する調査」2024年版

こうした問題は、IT部門によるデジタル環境の管理やモニタリングが行き届いていないことを示しています。
特にリモートワークでは、デジタル環境で問題が発生した際にもIT部門からサポートを受けにくいという一面もあります。

複雑化するIT環境と、IT部門の限界

複雑化するIT環境と、IT部門の限界

では、IT部門における従業員サポートの現状はどうでしょうか。リモートからオフィスのシステムへのアクセスにVPN(仮想プライベートネットワーク)を用意して安全に接続できる環境を整え、会社公認のオンライン会議ツールやファイル共有サーバー、生成AIの利用環境を提供しているところが一般的でしょう。

何か問題があった場合には、メールやチャットで受け付けるといった受け身の対応となっています。

急速に進むデジタル環境を鑑みると、このままではDEXの充実は望めません。
とはいえ、IT部門はリモートワークの常態化のほか、多様なデバイスの利用やクラウドサービスの普及によって環境が複雑化しており、管理の負担が大きくなっています。
従業員からの問い合わせ増加に伴い、サポート体制の見直しに迫られます。

理想は、生産性向上に向けてデジタル環境の拡充を進めながら、その管理やモニタリングも効率的かつ能動的に実施してDEXの向上を実現することです。
DEX向上に対し、経営視点による長期的な戦略的なアプローチが求められます。

3.DEX推進に対する課題

DEX推進に対する課題

DEXが対象とする範囲は広く、どこから着手すればよいのか迷うところです。PCやスマートフォンなどのデバイスやアプリケーション、クラウドやオンプレミスのサーバーなど管理対象は多岐にわたります。

それぞれの使用状況やパフォーマンス、トラブル対応やセキュリティ確保に対し、統一的な枠組みで管理する仕組みをどう構築するかが課題になります。

例えば、統一的に管理するためには、まず各種情報の収集が必要になります。
どのような情報を分析するのか、どういうタイミングで取得しどう視覚化するのかといったことを設計し、分析プラットフォームを構築しなければなりません。
収集した情報の評価やトラブルの予防に生かすためのアクションの設計には、豊富な経験が求められます。





加えて、数多くあるデバイスやソフトウエアの資産管理、トラブルの対応や予防対策といったIT部門に課せられる各種タスクをどのように効率化するのかといった視点も重要です。
DEXのためのシステム導入における効果とともに、コストの最適化も考慮しなければなりません。





運用面においては、システムの導入がDEXの向上にどれだけ効果があったのかを評価する仕組みが必要です。
ただし、一足飛びに理想形を目指すのはハードルが高いといえます。
Gartnerは、現状評価と設計、改善を実施しながらデジタルワークプレイスの成熟度を高めることを推奨しています。

どのように評価を測定するのか、評価で得られた結果をどう生かすのかをシステムに組み込み、PDCAサイクルを回しながら発展させる仕組みを構築するのが望ましい でしょう。

4.DEXの向上を実現するためのソリューション

DEXの向上を戦略的に実現するために、ITベンダー各社が製品・サービスを提供しています。

DEXの向上を実現するためのソリューション

その代表的な製品の1つが、日本HPが提供する「HP Workforce Experience Platform (WXP)」です。
WXPは、マルチOSかつマルチベンダー環境において企業内のPCやプリンターなどを包括的に管理するプラットフォームです。

DEXの向上を実現するためのソリューション

WXPは、各種デバイスに管理用ソフトを導入して利用します。
デバイスのパフォーマンスやアプリケーションの稼働状況、ネットワークの接続状況、セキュリティなど多くの項目を数値化する機能を備えています。

これにより、業務に影響を与えるような問題に対し、それが発生する前に検知や予測、対応が可能になります。
事前に問題を把握して対処することで、事後対応に比べて作業負荷を軽減しつつ、従業員の満足度を高めることができます。

加えて、従業員の満足度を評価する機能も搭載されています。
例えば、従業員から自由記述のアンケート回答を得て、AIで分析して感情の傾向を要約します。
AIは、タスクの自動化やデバイスの異常検知、トラブルシューティングなど各種機能にも活用されています。

5.従業員の生産性を向上させるために不可欠なもの

従業員の生産性を向上させるために不可欠なもの

WXPは、既にグローバルで数百社に導入されています。
日本国内では2025年7月に日本HPがSaaSとして提供を開始してから、複数の企業で導入が始まっており、既にWXPを導入した1社は「従業員の生産性を向上させるために不可欠なものとなっている」と評価しています。

WXPが評価を得ているポイントは、デジタル環境全体を一元化して管理できる点のほか、AIを用いて各種分析やパーソナライズが可能な点、満足度を評価する機能によって継続的に強化しながら従業員エンゲージメントを高められる点などです。

WXPは、企業規模を問わずご利用いただけるサービスです。
SaaS型で、利用人数に応じた課金体系を採用しており、提供する機能レベルの違いによって3つのプランを用意しています。

CTCエスピーのDEX向上支援

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参照リンク
DEXの解説:https://workforceexperience.hp.com/what-is-digital-employee-experience
WXPの概要:https://jp.ext.hp.com/business-solution/workforceexperience