コロナ禍でテレワークというワークスタイルが一気に広まったことにより、人々の「仕事」に対する考え方が急激に変化しています。安倍内閣が「働き方改革」を推進し始めた頃は、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉がしきりに使われていました。しかし、2021年8月に総務省が公開した提言書「ポストコロナの働き方『日本型テレワーク』の実現」の中には、「『ワーク・ライフ・バランス』という言葉は、ワーク中心で人生というものを考えるニュアンスがあり、今後は、人生のなかに仕事があるという『ワーク・イン・ライフ』という言葉の方が馴染むという意見もあった」と記載されており、今後テレワークというワークスタイルが定着するにつれて、「ワーク・イン・ライフ」という考え方が主流になっていくことが考えられます。
本記事では、
- 働き方のパラダイムがシフトすることによって、「社員・会社・社会」はどう変わるのか?
- いち早く考え方をシフトし始めた企業は、どのような取り組みをしているのか?
- シフトするにあたって課題となることとその改善策
を紹介します。社員の「ワーク・イン・ライフ」を支援し、持続的な成長を実現していきたい企業担当者の方は、ぜひご覧ください。
「ワーク・イン・ライフ」という価値観がもたらす変化
「ワーク・イン・ライフ」とは、提唱者である株式会社オカムラによると、「仕事も、家族や友人、趣味、休み、健康、学びなどと同じように、自分の人生の中の一つとして捉えましょう」という考え方を指します。
では、「ワーク・イン・ライフ」が実現することにより、社員・会社・社会はどのように変化するのでしょうか?
社員の変化「やる気と働きがいが高まり、幸福度アップ」
最もパフォーマンスを上げることができる働き方や生き方を自ら選ぶことができる、つまり生活に仕事を合わせることができるため、やる気と働きがいが高まります。さらに自分の人生が満たされた状態となるため、自己肯定感が増し、やりがいや達成意欲の向上にもつながります。
会社の変化「競争力が向上し、選ばれる会社に」
社員ひとりひとりの働き方や目的が多様化することに会社が寄り添うことでダイバーシティが実現し、組織の生産性や創造性が向上することが見込まれます。企業の価値を高め、競争力の向上にも寄与します。さらに「ここで働き続けたい」という社員が増えるだけでなく、「ここで働きたい」という新たな人材を確保できる可能性も高まります。
社会の変化「少子高齢化や地域の衰退など、さまざまな課題を解決」
「ワーク・イン・ライフ」の浸透に伴い、「 DX 推進」「地方創生」「レジリエンスの向上」「分散型社会への移行」といった社会課題に対する取り組みのスピードが加速していくと考えられます。例えば、働く場所を自由に選べるようになれば、都市部への人口集中は減速するでしょう。各地域に住む人が増えることは地方創生を促進し、分散型社会の実現につながります。また、家族を中心とした生活が可能になるため、少子高齢化にも歯止めがかかり、そのことが地方の衰退などの課題を解決することにもなるでしょう。
「ワーク・イン・ライフ」実現への取り組み事例
コロナ禍でテレワークというワークスタイルへの急速な転換が各企業で余儀なくされることに伴い「ワーク・ライフ・バランス」から「ワーク・イン・ライフ」へと、働き方のパラダイムシフトも加速しています。ここでは、いち早く「ワーク・イン・ライフ」という考え方に向き合い始めた企業の取り組みを紹介します。
ユニリーバ・ジャパンが取り組む「ワーク・イン・ライフ」
ユニリーバ・ジャパンは、 2016 年から社員が働く時間や場所を自由に選択できる人事制度〈 WAA 〉( Work from Anywhere and Anytime )を導入しました。 WAA は社員を場所や時間で " 管理 " せずとも業務を遂行できるという性善説に基づいた制度で、働く場所・時間を社員が選べる働き方です。
導入にあたり、社内には不安や不満の声もありました。そこで、導入前には WAA という制度と " 信頼ベースの働き方 " へのマインドチェンジを促す研修を繰り返し、導入後は現場に近いミドルマネジメント層への研修を強化しました。
「人生や家族など、自分が大切にするものが満たされているからこそ、仕事でも結果を出せる」と同社では考えています。
参考: https://www.unilever.co.jp/planet-and-society/waa/about-waa/
NTTが取り組む「ワーク・イン・ライフ」
NTTグループでは、 2013 年から「時間と場所にとらわれない働き方」を推進してきました。 2021 年 9 月 28 日、 NTT の澤田純社長は「リモートワークを推進し、ワーク・イン・ライフを実現していく」と宣言し、
具体策として転勤や単身赴任の廃止を明言。同日発表された「 NTT Green Innovation toward 2040 」の中でも、同社が取り組む改革 10 項目のうちの一つとして職住近接による「ワーク・イン・ライフ(健康経営)」推進を掲げ、具体的には以下の2つを施策として挙げています。
- リモートワークを基本とするワークスタイルにより、自ら働く場所を選択可能に
- 「一極集中型組織」から、自律分散した「ネットワーク型組織」への改革
生活を仕事に合わせるのではなく、生活に仕事を合わせる。それにより社員のやる気が高まり、会社への貢献も高まると見込んでいます。
参考: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD201MX0Q1A021C2000000/?unlock=1
CTCエスピーが取り組む「ワーク・イン・ライフ」
CTCグループは、 2007 年に「ダイバーシティ推進」を宣言しました。当時「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が一般的でしたが、 CTC グループのダイバーシティを推進するメンバーは、その頃から”ワークとライフは vs の関係ではない。仕事は人生に組み込まれているものだから「ワーク・ライフ・インテグレーション」(※ 1 )と捉えるべきではないか?”と考え、人事制度を整えていきました。年齢・性別・バックグラウンドなどの多様性をどう認めていくかという視点で少しずつ制度を拡張していく中で、時間と場所を問わずに働くことが社員にもたらすものは大きいと考え、コロナ禍が始まるよりも前からテレワーク導入に取り組み始めました。
ひとりひとりが意欲を持ち、多彩な個性が多様な働き方で力を合わせ、新しいことに挑戦し自己実現できる職場環境こそが、新たなソリューションやよいサービスを生み出すという考えのもと、今後もダイバーシティの浸透を図っていきます。
※1:仕事とプライベートを対立するものと捉えず、どちらも人生を充実させるための大切な要素であるとの考えから、双方を「インテグレーション(統合)」させて生活の質を向上させようとする取り組み
「ワーク・イン・ライフ」実現に向けて
3つの課題とその改善策
「ワーク・イン・ライフ」の基盤となるのが、テレワークという働き方です。 2021 年 8 月に総務省が公開した提言書「ポストコロナの働き方『日本型テレワーク』の実現」には、短期間にテレワークを導入したことによって、企業に 「①コミュニケーションを取りにくい」「②マネジメントができない」「③生産性が低下する」といった課題が発生している と書いています。
ここでは、これらの課題を ICT で改善する方法を提示します。
課題①コミュニケーションが取りにくい(勉強会・報告会・ 1on1 ミーティングなど)
→「 Zoom 」で解決!
「 Zoom 」は遠隔地にいるユーザー同士で使える Web 会議システムで、世界で 6 年連続トップシェアを誇っています。新型コロナウイルス感染症が拡大した当初は、使わざるを得なくなった人も、使ってみると「意外と、対面を非対面に置き換えることは可能」と感じたのではないでしょうか。ただし、同時発言ができないため、勉強会・報告会・ 1on1 ミーティングなど、一方向 または 交互に話す形式の会議に適したツールといえます。
課題②コミュニケーションが取りにくい(ワークショップ・ディスカッションなど)
→「Miro」で解決!
「Miro」はオンラインホワイトボードツールで、世界に2,300万人もの愛用者がいます。「Zoom」を使い慣れてくると、ホワイトボードにみんなで付箋紙を貼りながら、アイデアを出し合う企画会議のようなスタイルにはあまり向いていないことに気づく人も多いのではないでしょうか。
「 Zoom 」にもホワイトボード機能はありますが、「もっと双方向性の高いものはないか?」という声も少なくありません。「 Miro 」は、「 Zoom 」と相性がよく、「 Zoom 」を補完できるホワイトボードツールです。「 Miro 」を連携させることにより「 Zoom 」単体ではやりにくさのあったワークショップ・ディスカッションも、スムースに実施できます。
課題③マネジメントができない・生産性が低下する
→「Asana」で解決!
「 Asana 」はマネージャークラスや管理者がプロジェクトの管理をするだけでなく、担当者が自分のタスクを管理するために使うこともできる「ワークマネージメントツール」で、世界トップレベルのシェアを誇っています。「テレワークが常態化し、ひとりひとりの動きが見えなくなってしまったことにより仕事の全体像が見えず、プロジェクトのマネジメントができない」という課題に応えるツールです。
「 Asana 」なら、非対面であっても、「いつでも 誰でも」チームメンバー個々の仕事の進捗や結果はもちろん、プロセスまで可視化できます。マネージャーは、いつでも仕事の全体像を俯瞰して把握することができ、「どこがボトルネックになっているのか」「どこの人員を強化しなければならないのか」などの判断もすることができるため、「仕事の全体像が見えなくなってマネジメントがしにくくなった」という課題を解決することができます。
またマネージャーだけではなく、チームメンバーも、お互いの状況を常に把握することによって、負荷がかかっている人をサポートしたり、困っている人の相談に乗ったりすることができ、チーム全体で生産性を高めることが可能になります。
課題解決に最適なICTを選定
今後テレワークというワークスタイルが定着するにつれて、「ワーク・イン・ライフ」という考え方が主流になっていくことでしょう。しかし、テレワークを定着させるためには、テレワークによってもたらされる「コミュニケーションを取りにくい」「マネジメントができない」「生産性が低下する」という3つの課題を解決する必要があります。
そのためには、課題解決に最適な ICT を選定し、いち早く導入することが望ましいと考えます。今回ご紹介した「 Zoom 」「 Miro 」「 Asana 」に興味をもたれた方は、ぜひ、各製品ページから無料評価版をお試しください。
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