モバイルシンクライアントを活用し、外出先からの決裁やペーパーレス会議を実現
利便性を損なうことなくセキュリティを強化し、デジタル市役所を推進
一宮市役所では、ペーパーレス会議や出先からの安全な庁内システムへのアクセスを実現するため、HPのモバイルシンクライアントを導入した。プロジェクトの責任者である総務部情報推進課 専任課長 野中 裕介氏は、シンクライアントを選定した理由と今後への期待を次のように語っている。
「検討を始めた当時セキュリティ強靭化の話は出ていませんでしたが、デバイスを外に持ち出すとなると紛失の可能性があるため、シンクライアントを選択しました。その結果、利便性を損なうことなくセキュリティを強化でき、これからの施策にもこのインフラが活用できると考えています。」
モバイル端末のセキュリティ確保にシンクライアントを選択
一宮市は、日本のほぼ中央にあたる愛知県北西部にあり、北は岐阜県に接し、名古屋市と岐阜市の中間にある。一宮市、尾西市、木曽川町が合併し、2005年4月1日に新たな「一宮市」として誕生した。古くから繊維産業で栄え、高速道路のインターチェンジが集中する交通の要衝である。同市は、多くの自治体同様、紙の資料が多いという課題を抱えていた。特に週1回開催されていた部長以上が集まる幹部会議の資料は大量で、資料を作るだけで大変な手間がかかる。しかも、作成途中で修正が入ると、その部分だけ差し替える必要があり、担当職員の負担となっていた。もちろん、紙の大量消費という環境負荷の問題もあった。
また、同市は以前から情報化に取り組み、文書の電子化の推進や決裁システムの活用などをおこなってきたが、セキュリティの問題もあり、システムを外部から利用できなかった。そのため、役職者が出張していると決裁が受けられず、業務が滞ってしまう。
このような課題を解決すべく動き出したのは、2015年2月のこと。新市長の就任がきっかけだった。同市 総務部情報推進課 専任課長野中 裕介氏は、「新市長が就任し、ペーパーレス会議などデジタル市役所を推進することになりました」と語る
ペーパーレス会議の端末として同市が選択したのは、モバイルシンクライアントである。庁内だけでの利用なら従来のPCで間に合うが、出張時に業務が滞るという課題を解決するためには、外に持ち出す必要がある。その際、一般的なPCではデータを保存しているため、万一紛失すると情報流出につながりかねない。そこで、タブレットにもなり持ち運びが便利で、情報を端末に保存しないモバイルシンクライアントとすることにした
機動性や管理性、堅牢性を評価
2015年9月、まずパイロット利用として、幹部職員のみにモバイルシンクライアントを配布して、ペーパーレス会議を実際に試した。その結果、うまくいきそうだと判断し、管理職全員に範囲を広げて導入を進めることとなった。
モバイル端末を導入する場合、自席のメイン端末と別に導入するケースもあるが、一宮市が選んだのは・・・