【DX初歩】社内システムに点在する情報を活用したい

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
エンタープライズサーチコラム

「エンタープライズサーチ」という言葉をご存知ですか?


エンタープライズサーチとは、企業内の様々なシステムに点在するデジタル情報を横断的に高速検索する仕組みで、利用者は1度検索するだけで複数のシステムからまとめて情報を取得でき、情報を探す時間を大幅に削減し効率化をはかることができる企業内データ検索エンジンです。

img-NeuronEScolumn-1.webp


<エンタープライズサーチが台頭した背景>

 2019年頃からトレンドとなったDX(デジタルトランスフォーメーション)に始まり、時間や場所を選ばずに働けるデジタルワークプレイスの環境が整い、今や空前の生成AIブームが到来しています。MicrosoftやGoogleなどの大手ベンダーが莫大な投資を行ったことで、Windows PCやスマートフォンでも気軽にAIを試せるようになり、身近な存在となりました。業務においてもChatGPTやCopilot等のAI活用シーンが増えてきましたが、企業・組織内の情報収集に生成AIを利用しようとしたところ、思うように活用できないという課題が見えてきました。

※本記事は2024年6月時点の情報です。

この記事はこんな方におすすめですこの記事の対象者

  • DX推進を担当しているが何から着手すべきか悩んでいる
  • 社内システムに散在する情報の一元化を行いたい
  • テレワークにより増加した社内問い合わせの対応時間を削減したい

生成AIでは社内の情報は思ったように検索できない?!

 一般的な情報の検索や文章、プログラムコードや資料の作成を行う際、その情報源を確認し妥当性を検証する必要はあるものの生成AIは非常に役立っています。しかしながら、その情報源を社内にまで広げるとなると、社内の各ファイル置き場を整理し、適切なファイルを検索対象とするAIのモデルを作成する必要があります。また、生成AIのプロンプトを介して文章で問い合わせを行う方法もまだまだ不慣れな方が多いでようです。

そのためか、当社のお客様では文章や画像を作成される企画や生産などのクリエイティブな部門において生成AIの活用は見られますが、事務的な部門ではまだあまり活用されているイメージがありません。

デジタルワークプレイス環境が整い、社員が様々な場所で効率よく働くために、社内のナレッジや情報に素早くアクセスできるようにすることは重要です。

その仕組みに生成AIを利用するにはクリアしなければならない以下2つの課題が存在するのです。

  • 課題①生成AIの情報源である企業内のファイルを整理し、最新かつ正確なものを用意する必要性
  • 課題②従業員が文章による問い合わせや質問に慣れる必要性
生成AIで社内情報検索をするのは大変

社内DXの第一歩!企業内全文検索システム導入のススメ

 それでは、社内の問い合わせや情報検索にかかる事務工数を減らしたいというニーズに応えるために、企業は膨大なファイルの整理と社員のスキルアップ教育を行わねばならないのでしょうか。

答えは「否」で、当社は従来型の社内ファイル検索の仕組みでありキーワード検索に特化した「エンタープライズサーチ」製品に注目しています。その理由は前述した課題をクリアできるからです。

  • 課題①生成AIの情報源である企業内のファイルを整理し、最新かつ正確なものを用意する必要性

解決:従来のエンタープライズサーチ製品はオンプレミスサーバーを全文検索する製品が主流でしたが、最近ではBoxやDropboxなどのクラウドストレージやSharepointで構築された社内ポータルのようなクラウドベースのサービスも横断して検索できる製品が登場しています。代表例として、仏Sinequa社の「Sinequa」やブレインズテクノロジー社の「Neuron Enterprise Search」が挙げられます。

  • 課題②従業員が文章による問い合わせや質問に慣れる必要性

解決:プロンプトを介した問い合わせ形式ではなく、型番や製品名で検索することが可能で、目的の情報にたどり着きやすくなります。また、生成AIは問い合わせ文章の読解、情報検索、回答生成までに数十秒かかりますが、キーワード検索では数秒でのレスポンスが期待できます。

ナレッジ・情報検索にエンタープライズサーチが向いているケース

社内のナレッジや情報検索に生成AIを利用するのではなく、キーワード検索を使ったエンタープライズサーチが有効なケースは以下と考えられます。

  • 整理がされていないファイルストレージを検索の対象とする場合
  • ファイルストレージの参照権限を検索結果の閲覧にも反映したい場合
  • 検索用途が契約書、申請書、マニュアル、図面などに限定される場合

上記の条件が当てはまるならば、生成AIの活用を目指すだけでなく、「成熟した技術」のエンタープライズサーチ製品の導入も検討する価値があります。

なお、従来のエンタープライズサーチ製品は非常に高価で、数千万円規模のライセンスも多くみられましたが、「Neuron Enterprise Search」の場合ですと機能をシンプルにし、比較的低価格で横断検索を実現することもできます。

NeuronESの仕組み



このように生成AIの業務活用は新たなブームではあるものの、企業内の情報検索や社内問い合わせ等にかかる事務工数を減らしたいというニーズには、既にあるテクノロジーであるエンタープライズサーチは一つの“しっくりとくる課題解決”になりうるのではないでしょうか。

清水 直

2002年、CTCSP情報システム部門に入社。自社の情報システム開発において身に着けたERP導入や業務改善の経験を活かし、現在はお客様の製品サービス導入の技術作業や要件定義を支援。AI予測分析、RPA、データ活用などDX関連のコンサルティングを得意とし、製造業、自治体などこれまで400社以上の導入支援を対応。
趣味はラグビー観戦、釣り、ウォーキング(20km以上歩く!)Google Mapが友達で食べログのレビューアーを2010年から続けていて、Google Mapでも投稿中。

清水直