コラム/トピック

データ連携とは?
その課題解決とデータ連携基盤の構築方法

ITやICTがビジネスシーンに普及し、業務システムにもオンプレミスだけではなくクラウドサービスが広がっています。しかし、なかには手作業でのデータ管理が混在し、さまざまなデータ形式を管理しなければならないという企業も多いのではないでしょうか。このような現状のなか、効率的なデータ管理を行うには、データ連携が必要です。そこで本コラムでは、そもそもデータ連携とは何なのか、そしてデータ連携をする際に直面する課題や、それら課題を解決するデータ連携基盤の構築方法を解説します。

データ連携とは

データ連携とは

データ連携とは、異なるシステムで利用されている「統一されていない」データを連携することです。
データ管理や分析をするために、複数のシステムに存在するデータや、見方の異なるデータを集計するのは非効率なやり方だといえます。例えば、部門によって手書きで蓄積しているデータと、クラウド上で管理しているデータを行き来して把握するのは非常に困難で、データ管理にミスが増える原因にもなるのです。
このような、データ管理の複雑さや非効率を解消するのがデータ連携です。組織内に存在するデータをすべて連携して一元管理することで、効率的なデータ把握や分析が可能になります。また、近年多くの企業が取り組むDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現にとってもデータ連携は重要な項目です。

データ連携の必要性とその背景

データ連携の必要性とその背景

近年の業務スタイルには、ITやICTの利用でクラウドサービスが普及しています。
一方、これまでの資産であるオンプレミスのシステムを併用していたり、ExcelやCSVをデータファイルとしてメインに利用したりしている業務もあります。
つまり、業務に利用するシステムが増え、システム全体のデータ管理が複雑化しているということなのです。このような状態は、データの分散化や管理漏れによるデータの消失などの原因になりますし、データ管理や分析作業を困難にしています。
そこで注目されているのがデータ連携の必要性です。異なるシステムに蓄積されるデータを効率的に管理するデータ連携は、企業活動に必要なデータ集計や分析をするための基盤として重要な役割を果たします。

データ連携の課題

それでは、いざデータ連携を実施しようとしたときに直面する課題を確認しましょう。ここでは、大きく3つの課題を見ていきます。

異なるデータ型が混在している

データを蓄積するシステムが異なれば、それぞれのシステムに依存する“それぞれのデータ型”が混在した状態になります。そして、データ型が混在しているということは、それぞれのデータを関連付けることが難しいということです。

データを連携させるためには、データ型を統一する必要があります。しかし、複数のシステムのデータを統一するということは、それぞれのシステムがデータを保存する方法(プログラム)を変更する必要がありますので、非常に複雑で時間のかかる作業です。

データを集めても管理に工数とコストがかかる

データを集めても管理に工数とコストがかかる

異なる場所に保存されているデータを一ヵ所に集めるだけでも多くの工数がかかります。また、集めたデータをチェックするにも、データの型がバラバラだとデータの把握に多くの時間を要するでしょう。

異なるデータ型は、関連するシステムへのスムーズな反映も困難ですので、管理には工数とコストがかかるのです。

データ分析が非効率

さまざまなシステムからデータを集めても、それらデータを分析するには各種データの特徴を踏まえたうえで、見比べながら分析をしなければならないので非効率です。

また、統合したデータが図やグラフなどによって可視化されているわけではないため、迅速で正確な判断は難しいでしょう。

データ連携基盤で課題を解決

データ連携の課題を解決するために必要なことは、データ連携基盤を構築することです。データ連携基盤とは、異なるデータを自動的に集めて管理するためのシステムやツールなどのことを指します。

データ連携基盤を構築すれば、さまざまなシステムやデータベースに分散されたデータを収集できます。システムによって型の違うデータを、統一されたデータ型に自動変換して蓄積できるため、データ管理・分析の手間や時間の大幅な削減につながります。

統一されたデータは、管理しやすい状態で一元管理できるというメリットがあります。そして、一元管理されたデータは、可視化されたグラフや表などに変換することで効率的な分析が可能になり、素早く正しい結果を導きだす手段になるのです。

また、データ連携基盤はDXへの取り組みにも非常に重要なものです。DXは、企業のあらゆるデータを基に経営活動を効率化します。つまり、企業全体のデータ連携が最も重要な基礎になるということです。データ連携基盤を構築しておくことで、DXへの取り組みに対するハードルも下がるといえるでしょう。

データ連携基盤を構築する方法

それでは実際に、データ連携基盤を構築する方法を見ていきましょう。データ連携基盤を構築するには、大きく3つの方法があります。

スクラッチ開発でシステムを構築

スクラッチ開発でシステムを構築

スクラッチ開発とはシステム開発手法の1つです。

自社の業務に合わせたシステム開発が可能な手法であるため、機能の修正や追加開発も比較的容易で柔軟な対応ができます。ただし、スクラッチ開発でのシステム構築は、要求定義からシステム開発までの工数やコストがかかることがデメリットです。

ETLツールを利用して基盤を構築

ETLツールは、データの抽出・収集(Extract)、用途に応じた変換・加工(Transform)、成型し多ベータをて配信・送出(Load)するためのツールです。

多くのデータを一気に処理するバッチ処理に利用するツールでもありますので、膨大な蓄積データがあったり、ビッグデータを使ったりする場合に有効な手段です。

しかし、ある程度蓄積されたデータを1日1回などのタイミングで処理するため、リアルタイム性に欠けるというデメリットがあります。

EAIツールを利用して基盤を構築

EAIツールは、異なる様々なシステムに連携できるため、分散されたシステムのデータ連携に向いているツールです。上述のETLツールと比較すると、リアルタイムにデータ連携ができるというメリットがあります。また、データ連携時にエラーが出ることも少なく、信頼性のあるデータ連携が可能なツールです。

ただし、EAIツールは基本的にリアルタイム処理をするツールであるため、大容量のデータ処理には不向きだというデメリットもあります。

データ連携基盤の構築方法は、自社のデータ連携に何を重視するかによって選択しなければなりません。例えば、システム開発の柔軟性を重視するのか、データ処理の量あるいはリアルタイム性を重視するかを明確にしておく必要があります。

ノンプログラミングでデータ連携を導入する

データ連携基盤は自社で開発することもできますが、そのためには専門性の高いスキルを持ったシステムエンジニアが必要ですし、設計・開発・システムテストなどに工数とコストがかかります。

一方、ツールを利用する方法ならば、高い専門知識もそれほど必要なく、基盤導入も迅速に行えます。提供されているツールを導入することが、データ連携を実施するためには近道だといえるでしょう。

例えば、データ連携基盤をマウスだけで直感的に設定したり、さまざまなアプリケーションやデータベースに対応していたりするものを利用すれば、システムエンジニアのような専門的スキルがなくてもノンプログラミングでデータ連携基盤を構築できます。

実際のデータ連携ツールやその事例については「データ連携システムのスクラッチ開発をやめ、DataSpiderを導入設計フェーズでも、あえてツール導入へと舵を切った理由」を参考にするとイメージしやすいでしょう。

まとめ

手作業でデータを蓄積していた時代に比べ、IT・ICTを利用したオンプレミスシステムやクラウドサービスの活用の広がりは、企業組織のなかにさまざまなデータを混在させる結果となりました。多くの企業でDXへの取り組みも進むなか、分散化されたデータの連携は早急に対処すべき重要な課題です。データの一元管理や分析を効率的に行えるデータ連携基盤のスムーズな導入には、ツールの導入も視野に検討することをおすすめします。

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